前回の記事で右耳の突発性難聴を発症した時の話を書きました。
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私が突発性難聴を発症して完治するまでの話1(発症から治療開始まで)
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突発性難聴が発症したその日の午後、近所の耳鼻科でステロイド剤をもらい、治療を開始しました。
右耳が聴こえなくなってから数日間、私がとった行動
片方の耳が聞こえなくなり、それが突発性難聴と診断されてから数日間は、ひたすらインターネットで突発性難聴について調べました。
「突発性難聴」でググるといろいろな情報が出てきますが、主な情報は以下のとおりです。
- 突発性難聴の治療法と治る可能性
- 突発性難聴になった人のブログと、治療経過
- 突発性難聴になった有名人と治療経過
- 突発性難聴治療で有名な病院
調査して分かったことは以下のような情報でした。
- 突発性難聴には「3割セオリー」なるものがあり、発症した人の打ち3割は完治、3割は回復するが完治せず、残りの3割は全く回復しない
- 突発性難聴の治療法としてメジャーなのはステロイド剤治療と血液循環を良くする治療。これらの治療がうまく行かなかった場合の治療法として以下の方法がある
- 高圧酸素療法
- 星状神経節ブロック注射
- 難聴になった人のブログで、完治した人の情報はあまり出てこない。現在も何らかの治療を続けている人の情報が多く目につく
- 堂本光一、Aska、浜崎あゆみ、スガシカオ等が突発性難聴にかかった人として有名。この人達がその後完治したか否かはよくわからない
- 突発性難聴の治療で有名な病院は、東京都内よりも地方に多い
調べた中で「完治する人は3割しかいない」という情報はとてつもなくショッキングでした。知ったときに絶望しました。
「完治しない可能性60%もあるん???確率高すぎへん?」
不安が高まって突発性難聴から完治した人の情報を探しまくったのですが、これが不思議なことに完治した人の情報ってほとんど出てこないのです。
ネガティブな情報ばかり目についてしまう中で、学会で発表された論文にあった治りやすい人の傾向が目に止まりました。
- 発症から2週間以内に治療を開始した人は回復する傾向が高い
- 発症時の年齢が若いほど回復の可能性が高い
- 発症時の難聴の程度が軽いほど回復の可能性が高い
2.の年齢については自分(発症時点で40歳)があてはまるのかは微妙でした。3.はどの程度が「軽い」難聴なのか自分ではよくわかりませんでしたが、少なくとも1.の条件にはあてはまっています。発症から0日で治療開始したのですから!
こういう時、少しでもポジティブな情報は心のよりどころになります。
こういった情報収集の他にはできることは少ないので、とにかく処方された薬を飲みながら回復を待つしかありませんでした。
飲み薬では治らない。。。
突発性難聴を発症し、薬を処方されたのが木曜日だったのですが、そこから4日間(木、金、土、日)が経過した日曜日の朝のことです。
私が自然に行うようになった右耳の聞こえチェック方法(右耳に人差し指を突っ込んで、クルクル回転させてみる。左耳だと「ガサガサ」という音がはっきり聞こえる。)をこの日も試したのですが、一向に聞こえません。
薬もちゃんと飲んでいるのに、少しの回復の兆しすら無いので、また不安が押し寄せてきました。
このあたりになるといろいろと情報を調べていて、治療が遅れると回復の可能性がどんどん少なくなっていくという意識があります。
先生からは「1週間様子を見ましょう」と言われていましたが、こんな状態で1週間も待っていたらこのまま治るチャンスを失うんじゃないか?という危機感が募ってきました。
そこで、1週間(次の水曜日)を待たず、翌日の月曜にもういちど診察を受けることにしました。
この時点で、先生には
一刻も早く入院治療に切り替えたい
と伝えるつもりでいました。
再びの聴力検査、先生からの言葉。。
月曜になりました。この日は仕事も休み、朝イチで先日受信した近所の耳鼻科にダッシュしました。
早く先生と話がしたい、と思っていたのですが、今回は、診察の前にいきなり聴力検査でした。
以下が4日前の前回の結果(左)と今回の結果(右)です。
わかりにくいですが、実線に○がついた右耳のライン(下の方のライン)を比べると、125Hzから500Hz、4000Hzから8000Hzの周波数で前回よりも悪化しています。
先生もこの結果を見て「前回よりも悪化してますね。突発性難聴は発症後数日でさらに聴力が低下することはよくあります。」とのこと。
あー、やっぱりそうか、と思いました。少なくとも回復している感覚は全く無く、むしろ悪くなっているかも、と感じていました。
特に低い音(Hzが小さい範囲)の数値が悪くなっています。この結果は低い音が聞こえなくなってきているという私の実感と一致していました。
この時私が先生に伝えたこと(質問したこと)は以下の通りでした。
- Q.一刻も早く入院治療に入りたいのだが、先生的にどの病院がベストか?
- A.候補としては〇〇病院、△△病院、XX病院。〇〇病院はこの地域を統括する病院なので第一候補。△△病院もしっかりした耳鼻科を備えているが、インターンが担当になる可能性が高い。XX病院は難聴の専門医がいる。
- Q.時間を無駄にしたくないので、ステロイド剤治療以外にもできる治療は一度にすべてやりたい。どの病院なら可能か?
- A.残念ながら紹介した3つの病院(いずれも都内の総合病院)は基本的にスタンダードな治療以外は行わない。大きな病院であるほど標準治療を推奨する。地方でステロイドと高圧酸素療法を併用使用する病院もあるようだが、入院可能かは聞いてみないとわからない。
しばらく考えた末、難聴の専門医がいるという虎の門にあるXX病院を紹介してもらうことになりました。
XX病院にした理由は次の2つです。
- インターン生が担当医になる可能性は相対的に低い
- 耳鼻科に難聴の専門医がおり、難聴患者が最後に行き着く病院
ステロイド剤による標準治療以外の治療も試したいとは思っていましたが、住んでる場所からあまり遠い病院に行くのは、やはり現実的な選択肢ではありませんでしたし、XX病院には難聴の専門医がいるという情報が決め手になりました。
虎の門のXX病院での入院治療に賭けることにしました
私の場合は、比較的近所の総合病院に入院することにしましたが、住んでいる場所によって病院の選択肢は変わってくると思います。
もし、近所に難聴の専門クリニックなどがある場合は、もしかすると都市部の総合病院よりもいろいろな治療の選択肢を与えてくれるかもしれませんし、そういったクリニックのほうが難聴治療の情報が多く得られるはずです。
もし読者の方が突発性難聴になってしまった場合は、近所に難聴の専門医がいないか、確認してみる価値があると思います。
入院
診察を終えると、先生が「XX病院に問い合わせるので、受付でしばらく待て」とのこと。
10分くらいすると、受付のお姉さんが「XX病院で、今日の午後診察してもらえるそうなのですが、午後大丈夫ですか?」と聞いてきました。
私は二つ返事で「大丈夫です!」と答えました。
午後1時に虎の門のXX病院に向かい、耳鼻科を受信しました。
ここでもう一度聴力検査を行いました。1日に2回も聴力検査をしたのは初めてでした。
XX病院の先生は、若い男の先生でした。聴力検査の結果を見て、
「うーん結構重症ですね。」
と一言。
これにも結構ショックを受けましたが、もうショックを受けることには慣れていました。
先生:「このレベルの難聴は、入院して治療するのが良いと思いますけど、どうしますか?」
私:「入院します。」
先生:「いつからにしましょう。明日火曜日から入院しますか?できれば早めがいいですね。仕事のご都合もあるでしょうが。。」
私:(あ、明日から。。急やな。しかし、耳には代えられん!)「明日から入院します!期間はどれくらいなんでしょうか?」
先生:「1週間です。明日が火曜日なので、来週の月曜まで入院ですね。入院の手続きは受付で聞いてください。今日の診察は以上です。」
私:「よ、よろしくおねがいします!お世話になります。」
こうして、トントンと入院が決まりました。
入院するのは人生初めてだし、病気で仕事を1週間も休むのも初めてなので、正直、本当に入院なんかしていいのか?という思いがありました。
また、1歳8ヶ月の子供の世話(朝ご飯の準備と朝の保育園への送りは私の担当)を全部妻に任せないといけないということで、負担をかけてしまうことに罪悪感がありました。
いろいろ逡巡していたところ、XX病院の先生に言われた言葉が心に響きました。
「突発性難聴はストレスが要因の一つではないかと言われています。多分、お仕事などでいろいろなストレスがかかっていたのでしょう。今回の入院を機会にしっかりと休まれるのが良いと思います。」
ストレスを抱えている実感は全く無かったのですが、そういえば最近は朝も早くて睡眠時間が短くなりがちでした。
難聴を絶対治したいという危機感ももちろん強かったのですが、先生の言う通り、心身を休める良い機会かもしれないとも思いました。
受付横の入院相談窓口でいろいろと入院手続きの説明を受けた後、どさっと資料をもらいました。
明日から入院ということは、家族や実家や仕事の関係者に事情を説明しないといけません。着替えとかどれくらい必要なんだろう?とかいろいろ不安になりながら、家路につきました。
続きます。