先日、仕事で必要があって統計検定2級を受験し、合格しました。
コストは受験料の7000円+教材費約2000円で、時間的には2週間の勉強でした。
今回は筆者の経験を元に、初学者が1か月、教材費9000円で統計検定2級に合格する方法をご紹介します。
(初学者の定義 = 高校で学ぶレベルの確率の知識があるが、大学レベルの確率統計は学んでいない人)
初学者がやりがちな、不合格になる勉強法
初学者の人がやりがちな、間違った勉強法があります。(統計学というかあらゆる勉強について言えることです。)
それは、教科書を読んでばかりで問題を解かない、というやり方です。
統計学は、確かに高度な数学を扱う学問ですが、統計検定2級について言えば数学的理論の理解は求められていません。
なので、教科書を読み込んで背景にある理論を理解することよりも、データの分析方法・検定の種類に対してどんな確率分布を使うか・回帰分析の数値の意味を知っているか、という実践知識の方が大事です。
教科書に書いてあることを理解しようと、頑張って教科書に立ち向かったものの、理解ができずに時間だけ浪費し、問題演習がほとんどできていない。。。
典型的な負けパターンです。
そんな負けパターンにハマる人になりたくない皆様に、この記事で提案する勉強法は、
過去問集2冊のみ勉強法
です。
過去問集のみで統計検定2級は合格できる
普通にできます。
統計検定2級の勉強で大事なことは一つだけ。過去に出題された典型問題の解答パターンをどれだけ知っているかのみです。
もっと言うと、過去の典型問題を学ぶ事以外は、不必要な努力です。(※)
(※ 短期間で統計検定2級に合格するためには必要がないということです。統計学の勉強として意味がないということではありません。)
統計検定のサイトには指定の教科書が紹介されていますが、そんなもの買っている場合ではありません。
過去問を繰り返し解くことでしか、何が典型問題で何が非典型問題かは見えてこないです。
また、合格に必要なのは理論を深く理解していることよりも、問題に対して解答パターンを思い出して短時間で答えを出すことです。
そのためには教科書の理解よりも、繰り返し問題を解く反復練習が大事なのです。
メルカリで過去問集を2冊買いましょう。新品を買うなとは言いませんが、低コストで収めたいなら中古品を探すのがマストです。
筆者の場合、2012年〜2014年の公式問題集を約900円、2015年〜2017年の公式問題集を約1000円で購入しました。
教材費合計は2000円未満です。
問題傾向は大きく変わらないので、年度にこだわる必要はありません。なるだけ安く出品されているものを狙います。
過去問集は2年度分が1冊に収録されているので、2冊買う際は収録年度が重複しないように気をつけましょう。
統計検定2級に1か月で合格する具体的な手順
ここから具体的な勉強の手順を書いていきます。
頑張って勉強しなくて良いところを見極める
過去問集を購入したら、前から順に問題を見ていきましょう。
パラパラ見ていくと、問題の最初の方はいわゆる「データの読み取り」問題であると気づくでしょう。
データの読み取りは、特に統計学の知識が無くても、用語とデータの意味さえわかれば解ける問題です。平均、中央値、最頻値、四分位点、ヒストグラム、などの言葉の意味はネットで調べて理解しましょう。
データの読み取りの次に、単純な確率の問題があることにも気づくと思います。これもそれほど複雑な問題は出題されず、高校レベルの確率の知識があれば対応可能です。ちょっと複雑なのは「条件付き確率」くらいでしょう。
以上の分野は、出題範囲表の赤枠で囲った「データソース」「データの分布」「1変数データ」「データの活用ー時系列データの処理」「確率モデルの導入ー確率」「推測のためのデータ収集法」に該当するところです。
これらは繰り返し勉強する必要はありませんので、問題に登場する言葉の意味をネットで調べ、過去問4年度分を1週すればOKです。
繰り返し勉強が必要なのは、上記以外の分野、以下の青枠の分野です。青枠の分野に集中して反復練習をしましょう。
1周目:まずは過去問集2冊を早く1週する
最初は問題を読んでも全く解けないはずです。
なので、問題を読んで何が問われているかを理解したら、すぐに答えを見ましょう。
解答を見たら、問題の解説に出てくる意味のわからない言葉をネットで一つずつ調べ、なぜその回答になるのか理解していきます。
初学者におすすめなネットの情報源は、統計WEBの統計学の時間や、ヨビノリのYoutube講座です。
このプロセスは結構時間がかかると思います。
初学者が1か月で2級合格レベルの知識を得ようと思うと、毎日最低でも2時間は確保して「調べて理解するフェーズ」を早くクリアする必要があります。
毎日2時間が確保できないなら初学者が1か月で合格するのはちょっと厳しいです。1日1時間しか確保できないなら、2か月は必要と考えましょう。
1回分の問題をすべて終えるのに毎日2時間かけても1週間かかるかもしれません。
ですが、それでOKです。過去問1回分、わからない箇所をつぶしながら理解していくだけで、合格レベルの50%くらいのところまで来ています。
同じやり方を次の過去問でも繰り返します。
ですが、次は既に理解できている箇所がかなり多いハズです。もしかしたらこの時点で解ける問題もいくつかあると実感できるでしょう。
わからない問題は、考えすぎずにすぐに答えを見て答えの理由を理解します。
2回目の過去問は、すべて終えるのに1日から長くても2日で済むでしょう。回を追うごとに、わからないことを調べる時間はどんどん短くなっていきます。
コツは一回ですべてを理解しようと頑張りすぎないことです。後で何度も復習をするのですから、理解できない問題に出くわしたら、こだわらずに先に進みましょう。
このプロセスを過去問集2冊分すべて完了させます。この時点で学習15日目くらいであれば順調です。
2周目:もう一度最初から過去問に取り組む
1週終わったら、すかさず2周目に入りましょう。2周目は、1周目で得た知識や答えを見てなんとなく覚えていることをベースに問題を解いて見ましょう。
2周めにもコツがあります。それは、解き方がわからない・覚えていない問題はすぐに答えを見る、ということです。
解き方を覚えていない以上、どれだけ努力しようが問題は解けません。
なので、わからない所で長時間も頭をひねるより、解答を見る → 解き方を覚える を短時間で何度も繰り返すことで、正しい解法を頭に定着させることを重視しましょう。
3周目以降の復習に備えて、2周目では以下のように印をつけて問題を分類していきます。
- 解き方がわからず、答えを見てしまった問題には「✗」
- 解き方を正しく覚えていたのに間違ってしまった問題には「△」
- 解き方を覚えていてかつ正解できた問題には「○」
3週目以降では、✗と△を無くすことを目標に復習を進めます。
2周目もそこそこ時間がかかるはずですが、学習20日目までに完了させることを目標にします。
3周目:解き方がわからない問題をゼロにする
3周目では、○の問題には手をつけません。2周目で✗、△だった問題に集中します。
3周目では、2周目の記憶がかなり残っているはずですので、✗が○や△に変わることが多いでしょう。
また、2周目で✗、△になった問題には共通点があると思います。例えば、「t検定が絡む問題」「回帰分析の評価の問題」などです。
できれば、一つの分野の問題だけを集めて集中的に勉強しましょう。同じ分野の異なる問題を連続で何度も解いてみることで、一気に理解が深まります。
特に、検定と回帰分析は統計検定2級の重要分野ですので、この二つの分野については3周目で徹底的に復習します。
時間的には学習25日目で3周目を完了できれば最高です。
4周目以降:後はお好きに
4周目以降では、みなさんの好きに復習すれば良いです。
過去問を3週したことで、得意不得意が分かっているはずですので、不得意な分野に集中して解き方を確認するも良し、もう一度○の問題も含めて解いていくも良しです。
3周もしていると、解き方を完全に覚えてしまっている問題もあります。
なので、紙とペンを使わなくても 解き方を思い出す → 解答を見て解き方が合っているか確認 くらいの方法で、短時間で記憶の確認ができるでしょう。
ちなみに筆者の場合は、試験直前には△が1回でもついた問題をもう一度解いていました。間違って理解していたり、同じ間違いを繰返す場合があったからです。
直前に復習したのとほぼ同じ問題が本番でも出題され、少し気分になりました。
後は試験まで風邪を引かずに健康に過ごすだけです。
統計検定2級合格までのプロセスまとめ
- 中古の過去問集を2冊購入
- 学習中は1日2時間確保がマスト
- 学習1日目〜15日目 知らない知識を調べながら、過去問集1週目
- 学習16日目〜20日目 ○、✗、△をつけながら、過去問集2周目
- 学習21日目〜25日目 x,△をつぶしながら、過去問集3周目
- 学習26日目〜30日目 各自気になる所を復習
以上で合格間違いなしです。後は実践するのみ。
この記事が皆さんのお役に立てば幸いです。