Macユーザーなら、こういうシチュエーションを経験したことがあるかもしれません。
私は仕事とプライベートで長年Macを使っているのですが、税理士の仕事柄、会計ソフトやエクセルなどのOffice系ソフトを使う必要があったり、日税連の電子証明をするためにWindowsのみ対応のソフトを使わなければならなかったりと、世の中の要請でWindowsとはなかなか縁が切れません。
これまでは妻の古いWindowsマシン(Windows8。。。)で、だましだましやってたんですが、さすがに十年近く前のPCで作業を続けるのも苦しくなり、新しくWindows10環境のPCを用意することにしました。
ですが、新しくPCを買うのも場所を取るし、お金もそれなりにかかるということで、何とか手持ちの資産を使えないかと考えました。
そこで、現在使用中の2013年発売のMacBook Pro でWindowsを使えないかと調べて見たところ、BootCampという方法にたどり着いたという次第。
今回は、筆者がBootCampでMacBookにWindows環境を構築した事例をご紹介するとともに、BootCamp以外の方法との比較やメリット・デメリットを書いていきます。
そして「MacでWindowsを使うなら、まずはBootCampでOK」な理由を説明します。
本記事の内容です。
従来型MacのユーザーならWindows PCの購入は不要
これは、BootCampでWindows環境構築をやってみた結果判明した事実です。
Windows PCを新しく買わなくても(従来型の)MacにBootCampでWindowsを同居させれば、Windowsが使えます。しかも普通のWindows PCと遜色なく。
そして、BootCamp PCを数ヶ月使った私の感想は、他の手段を使わなくてもBootCampでもはや満足、です。
理由は、他の手段に比べて低コスト(ノーコスト?)、場所を取らない、MacBookのスペックをそのまま活かせる、Windowsを使わなくなったら元に戻せる、とメリットが多いからです。(デメリットも後ほど説明しますね)
では、BootCampと、その他の手段がどういったものか、メリット・デメリットとともに見てみましょう。
BootCampとは
BootCampとはアップルがmacOS上で提供するソフトウェアで、2006年頃からmacOSに標準で備わっています。
その目的は、Intelチップセットを積んだ従来型のMacでWindowsを利用できるようにすることです。
はい。最新機種であるM1 MacではBootCampは使えません。
もしお持ちのMacがM1チップセットのものである場合は、BootCamp以外の方法が必要になります。
ですが、BootCamp非対応となったM1 Macをお持ちの方はまだそれほど多くはないと思います。
大半の人はまだ、私と同様にIntel Macを使っているはずですので、BootCampはまだまだ枯れていない手法なんですね。
ちなみに、ご自分のMacがIntelチップセットか否かは以下の手順でチェックできます。
step
1デスクトップ画面左上のりんごマーク > このMacについて
step
2”プロセッサ”の情報を確認。”Intel”の記載があれば、Intel Macです。
BootCampのメリット
BootCampの良さは、なんと言っても手軽にWindows環境が構築できることです。
アプリケーションの購入無し(※ OSの費用はかかるんじゃ?という疑問を持った方は、ぜひ記事の最後まで読んでください)、新しいPCの準備必要なし、導入も手順通りにやれば比較的短時間で完了する、Windowsを使わなくなったらすぐに環境を消去できる、と「取り敢えずWindowsを触ってみたい。使えなさそうだったら元に戻したい。」という軽いWindowsニーズにはピッタリなのです。
ただ、良い面だけではないので他の手段との比較でデメリットも説明します。
BootCamp以外の手段1:仮想化ソフトを使う
BootCamp以外の手段として仮想化があります。
仮想化とはMacOSで動くアプリ上でWindows OSを起動させることです。
3つ、仮想化ソフトとして有力なものをご紹介します。
- Parallels Desktop:もっともシェアが高いソフトと言われています。他の仮想化ソフトに比べてストレージ消費が少ない点、WindowsアプリをMac上のアプリの様に使用できる点が特徴です。
- VMWare Fusion:仮想化ソフトとしては古くからあるブランドです。2021年5月現在、個人版を無償で提供しているのが最大の特徴です。(ただし無償版は商業利用不可)
- CrossOver:ParallelsもFusionも、Windowsをソフトウェア内部に起動させて使用しますが、CrossOverはなんとWindows無しでWindowsアプリを使用できるようにする点が特徴です。ただし使用できるアプリには制限があります。
いずれも有償ソフトウェア(Fusion個人版を除く)ですので、導入には初期投資が発生します。
また、仮想環境をMacOS上で動かす場合には、WindowsとWindowsアプリに加えて、仮想化ソフト自体がメモリやストレージを消費するので、快適に使用するためにはマシンスペックに余裕が必要です。
Parallelsであれば、メモリ4GB以上、記憶領域30GB以上は必要です。特に記憶領域が少ないMacBookのモデル(MacBook Air 64GBなど)や、メモリ2GBのモデルでは快適に使うのは難しいです。
ParallelsとFusionはいずれもM1 Macに対応していますが、CrossOverはM1非対応となっており、この点でCrossOverは出遅れていますね。
すでにM1 Macをお持ちの方が仮想化する場合は、ParallelsかFusionのいずれかを選ぶことになります。(2021年5月現在)
BootCamp以外の手段2:Windows対応のVPSを契約する
VPSとはVirtual Private Serverの略で、インターネットを経由した外部に自分専用のWindowsマシンを設置する方法です。
設置するといっても、やることはさくらやConoHaといったVPS業者と契約し、月1000円〜10,000円程度のお金を払うことで、業者にWindows環境を準備させます。
有名な業者をあげると以下の通りです。
サービスとしてはどこも似たりよったりなところがあり、スペックの高い(メモリ容量、記憶領域、CPUコア数等が多い)環境ほど、月々の料金が高くなります。
お手頃なものだと、メモリ2G、CPU3コア、SSD100GB、で月2000円程度です。コストは発生しますが、びっくりするほど高いというわけでもありませんね。
Windows環境を契約したら、MacからリモートデスクトップアプリでVPSに接続し、Mac上でWindowsがあたかも手元にマシンがあるかのように使用できます。(ただしネット環境が悪いとマウス操作やキー入力に遅れが生じたりします。)
MacからWindowsにリモートデスクトップ接続する場合は、Microsoft純正アプリであるRD Clientが無料で使えます。
VPSはインストールや管理の手間がかからず、場所も取らない、Intel Mac、M1 Mac関係なく使える、マシンスペックが選べる、というのが魅力ですね。
一方で、使い続ける間は月定額の料金が発生するというデメリットはあります。
BootCamp以外の手段3:Windows PC購入
当たり前ですがWindows PCを購入する、というのも手段の一つです。
気に入ったWindowsマシンが見つかったなら、購入してしまうのが早いという考え方もありますね。仮想化ソフトを入れたり、VPSを契約せずともシンプルにWindows環境が手に入ります。
初期投資が必要、お試し目的では購入できない、PCを管理する手間、設置場所が必要、Mac⇔Windowsのデータの移動が面倒、といった点が問題でなければ、シンプルな方法です。
Windowsマシンなので、キーボードもWindows用のものが使えるというメリットもありますね。
(ちなみに、私は妻が使っていた古いWindows PC(SonyのVAIO)を家庭内NAS専用機として再生させ、写真・動画・音楽ファイルの保存場所として活用しています。用途によっては古いPCでも十分活躍してくれるものです。)
BootCampとそれ以外の方法のメリット・デメリット比較
以上、MacユーザーがWindowsを使うための方法を見てきました。
それぞれの方法には良い面、悪い面があります。大事なのは自分の状況と目的にあった手段を選ぶことです。
ちょっとお試しでWindowsを使いたい人は20万円のWindows PCをいきなり購入すべきでは無いですし、Windowsを数年単位で使う予定の人がハイスペックのVPSを契約してお金を払い続けるのは、コスト面から見てベストの選択ではないでしょう。
以下のBootCampとBootCamp以外の方法のメリット、デメリット比較を参考に、どれが自分の状況と目的に適していそうか考えてみてください。
メリット | デメリット | |
BootCamp |
|
|
仮想化ソフト購入 |
|
|
Windows VPS契約 |
|
|
Windows PC購入 |
|
|
繰り返しになりますが、ちょっとお試しでお金をかけずにWindows環境を構築するなら、BootCampが手っ取り早いです。
BootCamp用のアプリ(BootCamp アシスタント)はMacOSに標準装備されていますし、Windows10のインストール用イメージファイルも、実はMicrosoftのサイトからフリーダウンロードができます。(次の節で方法を説明)
BootCamp アシスタントの実行には少し時間がかかりますが、ボタンをポチポチ押していくだけなので、仮想化ソフトのインストールの手間とさほど変わりません。
使用感に関しては、仮想化ソフトなどの追加ソフトが挟まらず、ダイレクトにMacBook上でWindowsが動くため、普通のWindows PCと全く同じです。ストレスがありません。
WindowsとMacの切り替えが面倒、という意見が多いですが、私の場合はWindowsを使う場合はMacの機能に切り替え無くても良い作業しかしないので、あまりデメリットを感じませんでした。
ちょっとお試し、のつもりでやってみたのですが、十分Windows環境として満足できるものなので、今後もしばらく使っていくつもりです。
さて、BootCampの良さをわかっていただいたところで、BootCampを使ったWindows環境構築の手順に行きましょう。
BootCampでWindows10環境を構築する10ステップ
まず、私がBootCampを使ったMacのスペックです。
- MacBook Pro (Retina, 15-inch, Late 2013)
- CPU 2.6Ghz クアッドコアIntel Core i7
- メモリ 16GB
- SSD 1000GB
- OS macOS Big Sur ver 11.2.3
では手順を見ていきます。
step
1BootCampが使えるPCか確認
以下に該当するMacならOKです
- MacBook 2015以降のモデル
- MacBook Air 2012以降のモデル
- MacBook Pro 2012以降のモデル
- Mac mini 2012以降のモデル
- iMac 2012以降のモデル
- iMac Pro すべてのモデル
- Mac Pro 2013以降のモデル
step
2macBookの空きディスク容量を確認
BootCampでWindowsを使うためには、最低でも64GB以上の空き容量が必要です。
(Mac Pro、iMac Proでメモリ128GB以上のモデル場合、ディスクの空き容量はメモリ容量と同じだけ必要になりますのでご注意ください)
ディスクの空き容量は りんごマーク > このMacについて をクリック
表示されるパネルの「ストレージ」タブを選択します。すると、Macの起動用ディスクの使用状況が表示されますので、64GB以上の容量があることを確認しましょう。
step
3CPUが32bitか64bitか確認
WindowsはCPUの種類によって32bit版と64bit版があります。
BootCampを開始する前にCPUが32bitか64bitか確認しておきます。
ディスクの空き容量は りんごマーク > このMacについて をクリック
プロセッサの情報が出てきます。
この例だとクアッドコアIntel Core i7と書いてあります。このCore i7というのがCPUの製品名なのですが、この製品名から32bitか64bitかがわかります。
以下の対応表で確認してください。
プロセッサ名 | 32bit / 64bit |
Intel Core Solo | 32bit |
Intel Core Duo | 32bit |
Intel Core 2 Duo | 64bit |
Intel Quad-Core Xeon | 64bit |
Dual-Core Intel Xeon | 64bit |
Quad-Core Intel Xeon | 64bit |
Core i3 | 64bit |
Core i5 | 64bit |
Core i7 | 64bit |
step
4インストール用の外付けドライブを用意する
以下のモデルに該当しないMacの場合は、16GB以上のUSBドライブや外付けHDD/SSDなどの外付けドライブが必要になります。
- MacBook 2015以降のモデル
- MacBook Air 2017以降のモデル
- MacBook Pro 2015以降のモデル
- iMac 2015以降のモデル
- iMac Pro すべてのモデル
- Mac Pro 2013以降のモデル
上のモデルに該当する場合は、BootCampアシスタントがAppleのサイトからWIndowsのインストールイメージを勝手にダウンロードしてくれます。
私の場合はMacBookPro 2013 Lateで該当モデルではなかったため、外付けSSDを使うことにしました。
インストール用の外部ドライブはBootCamp アシスタントにより初期化されてしまいますので、必要なデータは移動しておきましょう。
step
5マイクロソフトのサイトからWindowsのインストールイメージをダウンロードする
こちらのサイトからWindowsのインストールイメージ(.isoファイル)がダウンロードできます。
エディションと言語を選択します。(エディションは2021年5月現在Windows10しか選択肢はありません)
次にCPUの種類に合わせて64bit版か32bit版を選択します。
適当な場所にファイルをダウンロードします。
step
6BootCamp アシスタントを起動
BootCamp アシスタントは、Finderを開いて アプリケーション>ユティリティ の中にあります。
BootCamp アシスタント.appをクリックすると以下のウィンドウが立ち上がります。
step
7BootCamp アシスタントでWindowsインストール用のドライブを作成
前の画面で「続ける」をクリックし、どの作業を実行するか選択します。
外付けドライブを接続した状態で、「インストールディスクを作成」と「Windows10またはそれ以降のバージョンをインストール」を選択しておきます。
「続ける」をクリックすると、下のような画面になり使用可能な外部ドライブをMacが勝手に探してくれます。
ダウンロードしておいた.ISOイメージファイルを選択します。
「続ける」をクリックするとインストール用ドライブの作成が始まります。しばらく待ちましょう。
step
8Windows用パーティションを作成
インストール用ドライブが作成されると、自動的にパーテイション作成の画面に移動します。
上のように、macOSとWindowsと書かかれた四角が二つ並んだ画面になります。
二つの四角の間にある点を左右にスライドすることで、macOS・Windowsそれぞれに割り当てるハードディスク領域を決められます。
私はOffice、Acrobatなど主要アプリ一式と、会計ソフト、そしてプログラミング環境の構築を行いたかったので、余裕を持って100GB 割り当てました。
「インストール」をクリックし、パーティションの作成が終わると、Macが自動的に再起動します。
step
9インストール用ドライブからMacを起動し、Windowsをインストール
Macが再起動したとき、自動的にWindowsのインストールが始まる場合と、普通にMacが起動してしまう場合があります。
私の場合は、普通にMacが起動してしまいインストールが始まりませんでした。
その場合は、インストール用の外部ドライブを挿したままで、もう一度Macを再起動します。
そして、起動時の「じゃ~ん」の音がなったらOptionキーを押したままにします。
すると、以下のように黒い画面上にドライブの絵が二つ並んだ状態(起動ディスクの選択画面)になります。
ここで「Machintosh HD」を選択すると普通にMacが起動してしまうのですが、もう一方の黄色いディスクを選択しましょう。
すると、外部ドライブに保存したWindowsインストーラが起動し、Windowsのインストールが始まります。次のような選択画面になりますので、赤枠内の言語などを選びます。
次に、ライセンス認証画面になります。赤枠にプロダクトキーを入力しましょう(※)
※ 実は、プロダクトキーが無い場合は、キーを入力せずに右下赤枠の「プロダクトキーがありません」をクリックすると、次に進むことができます。そして、最後までインストールできてしまいます。
つまり、まだWindowsを使うか決めかねている人は、購入せずにWindowsを試用することができるのです。
ただし購入しないままWindowsの使用を続ける場合にどのような問題が起こるかわかりませんので、あくまで自己責任でトライしてください。
また、Windows10のライセンスはYahooショッピングなどで安価に販売されています。
私はマイクロソフトから正規品を購入しましたが、コストを低く抑えたい方は自己責任でYahooショッピングを検索してみてください。
以上が、BootCampが低コスト(ノーコスト)で導入可能な理由です。
次に、オペレーティングシステムの選択画面になります。
Windows10 Home、Windows10 Education、Windows10 Proなどが選択できます。
購入したライセンスに応じたものを選択してください。(プロダクトキーが無い場合は、どれを選んでもOKです。せっかく試すなら機能が豊富なWindows10 Proでも選んでおきましょう。)
続いてライセンス条項に同意し、インストールの種類を選択します。
- アップグレード:Windows をインストールし、ファイル、設定、アプリを引き継ぐ
- カスタム:Windows のみをインストールする(詳細設定)
今回はアップグレードではなくWindowsのみをインストールするので、「カスタム」を選択。
次に、以下のようなWindowsをインストールするドライブの選択画面になります。
赤枠のところに「BOOTCAMP」と書かれたドライブがあるはずです。これがBootCamp アシスタントが作成したパーティションになります。
BootCampのドライブを選択し、「次へ」をクリックするとWindowsのインストールが始まります。
しばらくするとPCが再起動します。
step
10Windowsの設定
PCが再起動したら、こんどはOptionキーを押さなくてもWindowsが立ち上がると思います。
もしMacが起動してしまった場合は、Macをシャットダウンし、電源を入れ直してOptionキーを押しながらPCをもう一度起動し直してください。
画面は省略しますが、
- Windowsの初期設定
- 地域の選択
- キーボードレイアウトの設定
- ネットワークの設定
- Microsoftアカウントでサインイン
- PINの作成
- プライバシー設定の選択
- OneDriveの設定
という順でWindowsの設定が進行していきます。この辺は普通のWindowsのインストールと全く同じですので、特に問題ないでしょう。
「Microsoftアカウントでサインイン」のところで、Microsoftアカウントを持っていない場合は、アカウントを作成するか、オフラインで進めることができます。
Windows10を使うと、何かとMicrosoftアカウントが必要になることが多いです。もしアカウントがなければ作ってしまうのが良いです。
OneDriveの設定まで完了すれば、Windows10の画面が表示されます。
後日談
実はWindowsをインストールしたあと、いろいろとアプリケーションを入れてみると、結構あっというまに100GBのパーティション容量を圧迫されてきてしまいました。
そこで、Windowsをインストールしたままパーティション容量を増やしたのですが、そこでいろいろと苦労があったので、また別の機会に記事を書きたいと思います。
それではまた。